JAPANG Firm News(2026年5月号)

当社では、日本における戦略的人事・労務サポートに関する実務上有効な情報や、制度設計のヒントとなるトピックを、随時お届けしております。

今回も、本年度の制度改正および基本ルールの整理の中から、企業運営において押さえておきたいポイントを、実務的な観点から整理いたしました。日々の運用や制度設計の参考としてご活用いただけますと幸いです。

 

1.子ども・子育て支援金制度の創設

■ 結論(ポイント)

新たな社会保険料の仕組みが追加され、2026年4月分の保険料より会社・従業員双方に小幅な負担増が生じます。

■ 解説

子ども・子育て支援金制度は、社会保険料に上乗せする形で徴収される新たな仕組みです。協会けんぽにおいては、2026年4月分(5月納付分)より0.23%の料率が適用されており、会社と従業員で折半されます。このように、企業・従業員双方に一定の負担は生じるものの、料率自体は小さく、単体としてのインパクトは限定的ですが、社会保険料の一部として継続的に発生するコストであるため、制度としての理解が重要です。

■ 具体例

例えば、標準報酬月額が50万円の場合、子ども・子育て支援金の料率0.23%を適用すると、総額で1,150円(50万円 × 0.23%)となり、これを会社と従業員で折半するため、

・従業員負担:約575円
・会社負担:約575円

となります。

このように、個々の負担額は月数百円程度にとどまりますが、毎月継続して発生するコストである点が特徴です。

2.同一労働同一賃金ガイドラインの見直し (4月告示10月施行)

■ 結論(ポイント)

待遇差は、職務内容・責任・配置転換の可能性の違いに基づくものでなければ、違法と判断される可能性が高くなります。

■ 解説

同一労働同一賃金ガイドラインの見直しにより、正社員と非正規社員の待遇差について、より明確な合理性が求められています。 待遇差の判断は、職務内容・責任の範囲・配置転換の可能性といった要素に基づきます。

これらの違いによらない待遇差(基本給、賞与、各種手当、福利厚生等)は、不合理と判断される可能性が高くなります。

■ 具体例

例えば、正社員と契約社員で同様の業務内容・責任範囲で勤務しているにもかかわらず、以下のような待遇差がある場合には、その理由を説明できないと、不合理と判断される可能性があります。

賞与
→ 正社員には支給しているが、契約社員には支給していない場合
→ 「会社への貢献度に応じて支給している」と説明する場合には、実際にその貢献度に差があるかが問われます

通勤手当
→ 正社員には支給し、契約社員には支給しないケース
→ 通勤に要する費用という性質上、雇用形態のみを理由に差を設けることは難しいとされています

食事補助・福利厚生
→ 正社員のみ利用可能とする場合
→ 業務との関連性が薄いため、原則として同様に提供する必要があると考えられます

このように、待遇差を設ける場合には、
「職務内容」「責任の範囲」「配置転換の可能性」といった要素に基づいて説明できるかが重要です。そのため、制度上の区分だけでなく、実際の業務内容と整合しているかを確認しておくことが必要です。

日本の労働時間の基本ルール(法定労働時間・法定休日)

■ 結論(ポイント)

日本では、労働時間・残業・休日労働に関するルールが厳格に定められており、残業時間の正確な把握と適切な賃金計算が極めて重要です。

■ 解説

労働基準法 により、労働時間の基本は以下の通り定められています。

・法定労働時間:1日8時間以内、週40時間以内
・法定休日:毎週1日、または4週間で4日以上

これを超える労働については、時間外労働・休日労働として、割増賃金の支払いが必要となります。
日本では、この割増賃金の計算ルールが細かく定められており、
・残業時間
・深夜労働
・休日労働
などの区分ごとに適切な管理と計算が求められます。

■ 具体例

勤怠記録が不正確な場合、実際の残業時間と給与計算に差異が生じる可能性があります。結果として未払い残業代の修正が必要となるケースもあります。

そのため、日本での労務管理において
・勤怠データの正確な記録
・残業時間の適切な把握
・法令に基づいた給与計算
を確実に行うことが非常に重要です。

なお、未払い残業代については、本来は5年間の遡り請求が可能とされていますが、現在は経過措置により当面の間は3年間とされています。将来的には5年間への延長が想定されており、今後の運用には注意が必要です。

実務上は、個別の従業員からの指摘を契機として、同様の取扱いをしている他の従業員にも影響が及び、結果として全社的な対応が必要となるケースも見られます。

このように、勤怠管理や給与計算の不備は、後からまとまった対応やコスト負担につながる可能性があるため、日々の運用の正確性が重要となります。

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